主演 松本穂香
縁(ゆかり/えん)
大阪の高校2年生。琴子とは小学校からの幼馴染で親友。琴子は、「あんた、ゆかり言うより、えんっぽいわ」と、“えん”と呼んでいる。琴子に付き合ってよく授業をサボるが、成績は学年で一番。どこの大学にも行けるため逆に迷っている。両親とも仲が良く、悩みがないように見えるが、ある秘密を抱いている。
悪さした人は、 あのタンクの中に入れてしまえばええよ
中田青渚
琴子
えんと同じ高校に通う同級生。成績は学年で一番ビリ。授業をしょっちゅうサボり、旧講堂の地下室で煙草を吸っている。そこに偶然、居合わせた同級生のナリヒラにひと目惚れする。これまで付き合った8人の彼氏は、家かラブホテルに行くだけの“アホども”だったが、ナリヒラとはきちんと恋愛しようと、自ら京都デートに誘う。
あんたは何で うちとおるんやろうな
片山友希
純
えんと同じ高校に通う同級生。母親が家を出て行ったのは父親のせいだと腹を立て、父親を無視している。「気が狂いそう」と検索してたまたま出会ったブルーハーツの歌に、息のつまりそうな気持ちを救われる。衝動的に同級生の伊尾と関係を持ち、やがてどうにもならない日常から逃れるように、刹那的なつながりにのめり込んでいく。
お父ちゃん死んだら、 お母ちゃん戻ってくるやろか…
金子大地
伊尾
えんと同じ高校に通う同級生。父親の再婚相手の暮らす大阪に、東京から引っ越してきた。義理の母親になったミナミと関係を持ちながら、それを知っている純とも関係を続けている。一匹狼的な存在で、いつもブルーハーツを聴いている。高校を卒業したら、この何もない町を出て東京へ戻り、東京の大学へ行きたいと考えている。
こんな何もねぇとこで生きるなんて ぜってー無理! マジで気が狂うわ!
甲斐翔真
岡田
えんのクラスメイト。学年で指折りの人気者で、女子生徒から熱い視線を浴びているが、本人はあまり気にしていない。一方で琴子に憧れているが、琴子は自分の存在さえ認識していないのではないかと思い、告白する勇気が出ない。サッカー部主将で、業平とも仲がよい。
そんなん余裕や やからお前もちゃんと傷つけ 逃げるな
小室ぺい
業平(ナリヒラ)
えんと同じ高校に通う同級生。サッカー部所属。町の工場の貯蔵タンクを、中に何が入っているのかと考えながら眺めていたところにえんが通りかかり、言葉を交わすようになる。穏やかに見えるが、父親が問題を抱えていて、それを周囲に打ち明けることができず、時々がばっと学校を休むことがある。
自分だけ自由になりたいなんて、 そんなんで人にやさしくできんのかな
板橋駿谷 / 桑田
えんたちの高校の数学教師。校則を無視し、授業をさぼり、教師に暴言を吐く琴子を目の敵にして制裁を加えようと追いかけるが、逃げる琴子とどこかゲームの勝負を楽しんでいるようでもある。いざとなると、生徒を守ろうとする男気もあるが、生徒からは暑苦しがられている。
山中 崇 / 縁の父
たくさんの本を所有するインテリだが、関西のノリのいい“おっちゃん”でもある。えんが連れてきた、どこか影のある業平を、おならをして笑わせ、「いつでも遊びにおいで」と温かく送り出す。
正木佐和 / 縁の母
いつもニコニコと、朗らかで明るい性格。夕食時にえんが突然、業平を連れてきた時も、「ちょうどよかったわぁ、お好み焼き、大きくしすぎたんよね」と優しく迎える。
森下能幸 / 業平の父
産んだばかりの息子を置いて、出て行ってしまった妻の代わりに、男手一つで業平を育てる。なぜ母親がいなくなったか、今どこにどうしているのか、息子には一切語らず、一人で抱えている。
億なつき / ミナミ
伊尾の父親の再婚相手。ショッピングモールの食品売り場でレジ係を務めている。生まれてからずっと、この町を一歩も出ずに暮らしてきたが、ある時、衝動的に新幹線に乗って東京へ行き、行く当てもなく声をかけたのが伊尾の父親だった。今は義理の息子の伊尾と関係を持っている。
江口のりこ / 楓
琴子の母。スナックを経営している。えんのことも親戚の子のようにかわいがっている。業平に恋をした娘を、「あの子もやっと恋愛始めたんやなあ」と喜びながらも、「でも初恋は叶わヘんのよねぇ」と達観している。
古舘寛治 / 忠司
純の父親。妻に出て行かれたことには触れず、毎朝、毎晩、エプロン姿で娘のために手作りの食事を作り、にこやかに声をかける。娘は口もきかず、食事に手も付けないが、全く気にしていない様子で明るく振る舞っている。晩御飯の写真を撮って娘にラインで送るなど、一方的なコミュニケーションを続けている。
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青春時代って、一瞬すぎるからなのか、どこか記憶がぼんやりしている。大切な瞬間が溢れてたはずなのに、記憶が抜け落ちてる。だけど、多分、その時感じた切なさやあたたかさは、ずっとずっと心の中に感触として残ってるんだと思う。恥ずかしいぐらいまっすぐだった私たち。過去があって、今がある。私たちはずっと、何かに向き合いながら、苦しみながら生きてきた。そんな当たり前のことに救われる気がする。だから大丈夫。私たちは大丈夫。ダサくても痛くてもいい。だから伝わるものがある。そんな気持ちでこの作品に挑みました。